先日、環境整備に踏み出したいと相談をいただいた保育施設にて、保育者さんからいただいた質問になります。
やはり新たな試みをするには踏み出す1歩が大切ですが、ただやみくもに1歩を踏み出しても振り返りや環境を整備した時の子どもの反応を観察できず「大変」で終わってしまう可能性があります。少しでも予備知識と見通しを持つことで、環境と子どもの対話を観察することができます。
さて、質問にお答えしたいと思います。
室内及び園庭の環境を変えることで、子ども達の選択肢が増えます。何で遊ぼうか、何で遊びたいか、どんな気分かによっても遊びが選べることで、満足から安心感を得ることができます。遊ぶものや環境が限定されていると、欲求が溜まり大人の気を引いたり、大人が「止めてほしい」ということに挑戦するようになり、大人と子どもで負の連鎖が生まれ強化されていきます。
☆6月に見学させていただいた北海道北見市 認定こども園美山遊子さんより素敵な写真を提供していただきました☆
環境は遊具だけではなく植物、傾斜など様々な興味の要素がちりばめられています。季節によっても遊び友達によっても多様に変化し遊びが尽きない環境です。
子どもたちは狭い場所を好む傾向にあります。特に広い保育室内では、いつでも、どこからでも見られている気持ちになるため、「安心できにくい」状況になります。その結果、安心を求めて大人の気を引いたり、友達の気を引こうとトラブルになったり、入ってほしくない場所に行くなど、こちらも負の連鎖に繋がります。ダンボールがあれば簡単に安心できる場所ができますね。
環境を分けることで、趣味が同じような子どもが集まり、遊び込みや興味憧れの姿が引き出されやすくなります。特に異年齢で過ごす場合は、更にそれらの効果が引き出されます。また、個室や小スペースを作ることで、外部の刺激が遮断され遊びに集中しやすくなります。壁があるだけで、雑音が届きにくい状況にもなります。
いくら環境を整備しても、子ども達の欲求や発達に合っていなければ、それらの環境は使われず、荒らされたり、大人が止めてほしいことを行ったりして「環境を整備しても変わらない」という思考になることがあります。
もし、上記のような状態であれば、どんな環境を整備する必要があるかを、子どもの姿から見出して、議論することが必要です。
一級建築士・こども環境アドバイザーの井上寿さんは「環境はすぐに作れるが、作った後が重要」ということを提言されています。
この言葉からも、「環境整備で子どもが変わる」ではなく、「環境整備で子どもの姿が見え、目の前の子どもに沿った環境が思考できる」という視点で取り組んでいただけると良いですね。
「遊道」では子ども・保育者・保護者・保育施設・保育人理念など様々な背景を基に研修や関りを提案させていただきます。
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