保育士さん(4歳児クラス担任)より「保育室内で子どもが走り回って、何度言い聞かせても走ってしまいます。その都度、声をかけているのですが一向に聞いてくれません。」という質問を頂きました。
上記のことについて、悩んでいる保育士さんは多いのではないでしょうか?
それではなぜ走ってしまうのか、紐解いていきましょう。
〇保育室が常に何もなく、保育によって机が出たりおもちゃが出たりしている
〇広いので走りたくなる
〇基本的に日中の運動量(欲求解消)が足りていない
〇大人の気を引きたくて走ってしまう
〇遊びの種類が限定されているため、必然的に走る遊びになってしまう。例えば戦いごっこなど。
など、様々な要因があります。このような状況では、もしかしたら「走る」ことが魅力に感じたり、走る以外に遊びの選択ができにくいかもしれません。
そこで保育室にコーナーを作ることを提案してみました。
例えばクラスの中に
〇積み木コーナー(想像しながら計算や繊細に指を動かす)
〇ままごとコーナー(人と楽しくごっこ遊びを通してやり取りする)
〇製作コーナー(想像しながら自分の作りたいものを表現する)
〇ゲーム遊び(すごろくなどのおもちゃ)(友達とルールの遊びを楽しみ合う)
〇絵本コーナー(自分の世界でリラックスができる)
〇コマ遊びコーナー(コマを投げて自分を見つめたり相手と競ったりして楽しむ)
などです。
まずは子ども達の欲求に沿った環境の整備が必要です。
例えば保育用品で「4歳児の発達にはこのおもちゃが良い」と言われるものでも、その時期の子ども達は別の物を欲求として欲しているかもしれません。コーナーに設置するおもちゃも子ども達の反応を見て変えたり、時には一緒に遊んで楽しさを伝えていくことも大切です。
コーナーを作ると走る行動が減ったという言葉を保育士さんからよく聞きます。
それは物理的に走れるスペースがなくなったことや、ただ広い保育室でならば見ただけで走りたくなりますが、様々なコーナーがあるので、視覚的に走りたいと思わなくなった可能性も考えられます。
また、今までは遊びの選択肢が狭かった子ども達も遊びを見つけらえるようになり、その場所で楽しく遊べるようになった可能性もあります。
是非、上記の様な悩みの方はコーナーを作ってみるとよいでしょう。
コーナーは基本的には常に保育室に配置しておくことをおススメしています。子ども達が保育室を「自分の家」として、「保育室に入ったら〇〇で遊ぼう」など子どもの生活が見通しができるようにするためです。
コーナー保育をすると設定保育ができなくなる(場所がない)と保育士さんから質問を受けますが、例えば製作コーナー付近に机を増設して、設定保育をしても良いですし、コーナーを片づけずに少しだけ寄せても良いかもしれません。
また、園内で使用できそうな場所を探して設定保育をしても良いでしょう。
是非子ども達が主体に生活を送れる場所に保育園、保育室が変化すると良いですね。おのずとむやみに走る行動が減ってくるかもしれません。
保育室に観葉植物を設置することもおススメです。大きめの観葉植物を配置すれば子どもの視界に入り、避けたりゆっくり移動するようになります。また、ペットボトルなどを一輪挿しにして、机に置いてみると「倒したらこぼれる」と認識して過ごせるようになるかもせれません。
このように大人が「ここはみんなの生活の場だから走っちゃダメ!」と伝えるよりも環境を変えることで子ども自身が「あ、当たったら植木が倒れるな」など気づけるようにする良いですね。
コーナーはできましたが、コーナーだけで「走る」行為を減らそうと考えてはいけません。コーナーだけだと根本的な動的欲求が満たされずイライラ(欲求)が溜まることが考えられます。是非、保育園内外の環境を活用して、動的欲求が満たせる場所を確保してあげてください。
※動的欲求はただ走るだけではなく、くぐる、よじ登る、ぶら下がる、瞬時に身体を動かすなどの要素を友達と楽しく体験することが重要です※
「遊道」は、子ども達の発達の確認と保育の見直しができるお手伝いをさせて頂きます。